経営事項審査(経審)とは、少額の建設工事の場合等を除き、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査となります。工事の請負契約を締結することができるのは、経営事項審査を受けた後、その経営事項審査(経審)の申請の直前の決算日(以下、「審査基準日」とします)から1年7か月の間となります。国土交通省地方整備局や地方自治体等の発注する工事を直接請け負おうとする建設業者は、審査基準日から1年7か月の間に、毎年、経営事項審査(経審)を受けることが必要です。
公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者の資格審査を行うこととされており、各発注機関は、欠格要件に該当しないかどうかを審査したうえで、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、格付けと順位付けをしています。このうち客観的事項の審査が経営事項審査といわれる審査制度であり、この審査は経営状況と経営規模、技術的能力その他の客観的事項について数値により評価されます。
目次
有効期間について
標準処理期間について
審査項目と総合評定値について
審査手数料について
経営事項審査(経審)の対策
長期的な対策
比較的短期的な対策
建設キャリアアップシステム(CCUS)との関連について
経営事項審査(経審)対策でしたら専門家へご相談ください
有効期間について
経営事項審査(経審)の有効期間は、結果通知書を受領した日から審査基準日(原則、申請日直前の事業年度終了日)の1年7か月後となります。注意点としては、一般的な建設業等許可の有効期間とは運用が異なり、有効期間内に申請をして受付されていれば良い訳ではないという点になります。
審査基準日の1年7か月後迄に結果通知書を受領する必要がございます。よって、入札参加資格申請に、直近の結果通知書が必要等、スケジュール管理が必要な場合は、標準処理期間、補正の日数、必要書類の取入れまでの日数等を考えて計画的に準備を進める必要がございます。
標準処理期間について
標準処理期間については、埼玉県の場合、1日となっているようですが、実際の処理期間としては13日程度と思っておいた方が良さそうです。また、注意点として、事前予約が必要となります。大臣許可で窓口が関東地方整備局の場合は、事前予約は不要ですが、標準処理期間が通常5週間程度、7月~10月は8週間程度必要となります。
審査項目と総合評定値について
経営事項審査(経審)の審査項目は大別して5項目となります。完成工事高(X1点)、自己資本額および平均利益額(X2点)、経営状況(Y点)、技術職員数および元請完成工事高(Z点)、社会性等(W点)です。これらの審査項目ごとの配点に対し、一定の係数(X1は0.25、X2は0.15、Yは0.2、Zは0.25、Wは0.15)を掛けて総合評定値(P点)が算出されます。
審査手数料について
経営規模等評価と総合評定値の申請手数料は、以下のとおりとなります。
経営事項審査(経審)の対策
長期的な対策
長期的な経営事項審査(経審)対策としては、自己資本を厚くして借入金と支払利息を減少させることが挙げられます。その他としては、従業員への資格取得奨励報酬制度などによる人材育成、若年技術者や女性技術者の採用など、バランス良く着実に成長をすることが望ましいようです。
比較的短期的な対策
比較的短期的な経営事項審査(経審)対策としては、社会性等(W点)が挙げられます。具体的には、建設業退職金共済事業(建退共)加入、退職一時金制度か企業年金制度の導入、法定外労働災害補償制度への加入、防災協定締結団体への加入、建設業経理士の取得、建設機械等の保有、エコアクション21やISO認証、CPD単位の取得、ワーク・ライフ・バランスへの取組が挙がられます。その中でも比較的短期で可能な対策については、現在の状況について詳しくお伺いしたうえで、個別にご提案をしております。
建設キャリアアップシステム(CCUS)との関連について
令和6年6月12日付で、埼玉県の経営事項審査申請の手引きが公開されました。
keisintebiki.pdf (saitama.lg.jp)
その中に、建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況について掲載がござます。建設キャリアアップシステム(CCUS)との関連について、以下にまとめておりますので、経審申請の際には間違いがないようにご確認下さいますようお願いいたします。
「W点15点」に該当する場合は、以下の通りです。
①民間工事と公共工事の全てで該当措置を実施している
②(公共工事を1件も受注していない場合)民間工事の全てで該当措置を実施している
③(民間工事を1件も受注していない場合)公共工事の全てで該当措置を実施している
「W点10点」に該当する場合は、以下の通りです。
①民間工事の全てで該当措置をせず、公共工事の全てで該当措置を実施している
②民間工事の一部で該当措置をせず、公共工事の全てで該当措置を実施している
「W点加点なし」に該当してしまう場合は、以下の通りです。
上記「W点15点」と「W点10点」に該当しない、又は下請け工事のみを受注している
なお、建設キャリアアップシステム(CCUS)において、審査基準日以前3年間で認定能力評価基準により評価を受けていて、最新の評価の区分より1以上上位に該当する場合は、加点対象となります。
経営事項審査(経審)対策でしたら専門家へご相談ください
今後、入札に参加をしたい等のご事情で、経営事項審査(経審)を受けたいとお考えでしたら、専門家へのご相談をご検討下さいますようお願い申し上げます。弊所では、手厚いサポートはもちろんのこととして、建設業者様のご要望に応じて必要な項目のみの柔軟なサポートも対応しております。多くの建設業者様の支援実績がある弊所まで是非お問い合わせ くださいますようお願い申し上げます。
費用報酬
経営状況分析
50,000円~(税込55,000円~)
経営事項審査
50,000円~(税込55,000円~)
出張相談費用 1時間以内
10,000円 (税込11,000円)
※電話でのご相談は、10分程度でしたら無料で承っております。