任意後見制度とは
任意後見契約とは、本人が、受任者に対し、認知症などで委任者の判断能力が低下した場合に、後見人として、財産管理や契約締結等をしてもらう事を委任する契約です。本人が十分な判断能力を有する時に、あらかじめ任意後見人となる人と委任する事務の内容を、公正証書による任意後見契約で定めておき、本人の判断能力が不十分になったときに、任意後見人が委任された事務を本人に代わって行う制度です。家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから、その契約の効力が生じます。
任意後見制度においては、本人が自ら任意後見人を選ぶことができるため、本人が信頼できる方を任意後見人とすることができます。また、本人に判断能力が十分であれば、自己決定権を持ち続けることができます。仮に本人の判断能力が低下した場合でも、その備えがあるため、安心して日々の生活を送る事が期待出来ます。
成年後見制度とは
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度と2つの制度があり、法定後見制度には、保護の必要性の程度等に応じて後見、保佐、補助の3つの制度があります。
家庭裁判所は後見等開始の審判をするにあたり、原則として本人の判断能力がどの程度あるかを医学的に判定するために鑑定をする必要があります。鑑定は、家庭裁判所が医師に鑑定依頼をするため、申立時に診断書を作成した医師以外の医師が選ばれることもあります。この鑑定や調査を経て、後見等の開始の審判をし、成年後見人等の選任をすることになります。判断の目安は以下の通りです。
支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することが難しい場合がある。⇒補助
支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない。 ⇒保佐
支援を受けても、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない。 ⇒後見
成年後見制度の留意点について
1.成年後見・補佐・補助の申立ての取り下げをするには、よほど合理的な理由がない限り取下げが出来ず、家庭裁判所の許可が必要となります。
2.申立人が成年後見人候補者を挙げている場合でも、家庭裁判所が他の方を成年後見人として選任する場合があります。また、成年後見人の変更についても原則として出来ません。
任意後見制度活用の意義について
最も大きな要因として、認知症の問題が挙げられます。認知症とは主にアルツハイマー型認知症のことを指し認知症全体の6~7割を占めると言われており、2025年時点では65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症となる推計があります。本人の認知症が進行した場合、適切な財産管理が出来なくなる可能性が高くなります。具体的には、通販等での商品購入や高額商品の購入、保険等の契約締結による浪費が挙げられます。
また、銀行の預金については、銀行側が、本人が認知症である疑いが強いと判断したときは、口座凍結をします。その結果、生活費の引き出しが出来なくなり、生活が立ち行かなくなる場合もございます。この場合、引き出しが出来るようにするために、原則として成年後見制度を活用することとなります。
また、病気等による治療を受ける必要が生じた場合でも、入院契約等を締結出来ず、治療等を受けることが出来なくなる場合もございます。そのような場合に備えて、あらかじめ、委任者に代わって、財産管理や契約締結等を信頼出来る専門家に頼んでおけば、委任者はもちろんのこと、周りの方々も安心して過ごすことが出来るようになります。ご家族のことを大切に思っている方ほど、任意後見制度を活用されているようです。
費用報酬
相談費用 1時間以内 10,000円 (税込11,000円)
報酬 150,000円~(税込165,000円~)